ロバート・グラスパー・エクスペリメントとしてアルバム『ブラック・レディオ』、『ブラック・レディオ2』で二年連続グラミー賞を受賞し、名実ともにジャズを牽引するアイコンとなったロバート・グラスパー。ヒップホップとR&Bに進出し、ジャズとの架け橋を担ってきた彼が次は原点とも言うべきアコースティック・ピアノを奏でる。しかもデビュー初期のメンバーでのトリオ編成だ。ただ、輝かしい実績を積み上げたグラスパーが届けるトリオの音色は、過去にも無い、またエクスペリメントにもない、唯一無二の“今のジャズ”なのだ。
長年のファンも、また、『ブラック・レディオ』を通じで接点を持った方も、今回のライブは見逃せないはずだ。
★初期ジャズトリオ
1978年生まれ、テキサスのヒューストン出身のグラスパーは、母親からの影響でゴスペルとR&Bを聴いて育つ。ジャズとの最初の接点はチック・コリアのチック・コリア・アコースティックバンド『ALIVE』。時を経て『ブラック・レディオ』で話題となっていた頃、韓国でのハービー・ハンコックとのショウに訪れたチックから『ブラック・レディオ』をよく聴いていると告げられ、感激したというエピソードもある。
Chick Corea Akoustic Band 「Round Midnight」from『ALIVE』
初期のジャズトリオのアルバムは『MOOD』(2003)と『In My Element』(2007)。 前述の巨匠ハーヴィー・ハンコックの「処女航海」も今回と同じメンバーでカバーしている。
Maiden Voyage(処女航海)from 『In My Element』
Robert Glasper: Piano / Vicente Archer: Bass / Damion Reid: Drums
★ロバート・グラスパー・エクスペリメントの成功
「普段ジャズを聴かない人たちにも向けた、ポップでメインストリーム寄りのものを意識した」という2枚のアルバム『ブラック・レディオ』、『ブラック・レディオ2』は二年連続グラミー賞を受賞。(※) R&B/ヒップホップ・チャートの常連となった。
※『Black Radio』第55回グラミー賞 最優秀R&Bアルバム/『Black Radio 2』から「神の子供たち」最優秀トラディショナルR&Bパフォーマンス賞
この映像はエクスペリメントのデリック・ホッジとクリス・デイヴとのトリオのライブ。ヒップホップ/R&Bサイドからのトリオジャズ、そして、原点回帰した今回のトリオはどんな音色を奏でるのか。比較するとともに、9月27日のライブに期待したい。
Robert Glasper Trio – LIVE at The Village Vanguard – Double Black
★原点、アコースティック・ピアノで奏でる、新たなるブラック・ミュージック『カヴァード』
最新作『カヴァード』は初期のメンバー、ロバート・グラスパー(ピアノ)、ヴィセンテ・アーチャー(ベース)、ダミオン・リード(ドラムス)でのトリオで、レディオヘッドやケンドリック・ラマー、ミュージック・ソウルチャイルド、ジョニ・ミッチェル等の楽曲を斬新なアプローチで演奏し話題となっている。
ロバート・グラスパー『カヴァード』 (ユニバーサル ミュージック)
「レコナー」(レディオヘッド)
「ソー・ビューティフル」(ミュージック・ソウルチャイルド)
「バラングリル」(ジョニ・ミッチェル)