90年代“アシッド・ジャズ”を牽引し、今なお最前線で活躍するインコグニート

 インコグニートは、ギタリスト兼プロデューサーのジャン・ポール“ブルーイ”モーニックを中心として’81年に結成。’90年代のアシッド・ジャズ・ブームをザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズらと共にリードし、メイザ・リーク、ジョセリン・ブラウン等、数多くの逸材を輩出。秀逸なカヴァー・センスと共にオリジナル・クラシックスも多数放ち続けている。今井美樹の2013年リリース作品『Dialogue -Miki Imai Sings Yuming Classics-』では、「中央フリーウェイ」と「ようこそ輝く時間へ」でアレンジを担当、また東日本大震災直後には震災復興支援チャリティソング「Love Will Find A Way」を日本のミュージシャンとともに制作した。

 

★’90年代のアシッド・ジャズ・ブームを牽引

アシッド・ジャズ(acid jazz)は、1980年代にイギリスのクラブシーンから派生したジャズの文化。ジャズ・ファンクやソウル・ジャズ等の影響を受けた音楽のジャンル。レコードレーベルの名称。(出典:http://ja.wikipedia.org/wiki/アシッドジャズ

 同時期に人気を誇ったアーティストにはジャミロクワイ、ザ・ブランニュー・ヘヴィーズ、ジェイムズ・テイラー・カルテット、そして日本では今も尚最前線にいるKYOTO JAZZ MASSIVEがいる。

 ロンドンの伝説的DJ、ジャイルス・ピーターソンが大ファンだったこともあり、90年代初頭にジャイルスが立ち上げたレーベル“Talkin’Loud”の最初のアーティストとして迎え、同名曲「Talkin’Loud」がヒットを飛ばした。
『Tribes, Vibes And Scribes』(1992年)、『Positivity』(1993)は30年を越えるインコグニートの活躍を決定づけた代表的アルバムで、今現在もライブでは盛り上がる曲が多い。

 

1233833610_folderab2 img_0

 

「Colibri」 from 『Tribes, Vibes And Scribes』

 

「Dont you worry bout the thing」 from 『Tribes, Vibes And Scribes』
※スティーヴィー・ワンダーのカバー

 

「Talkin’ Loud」 from 『Positivity』

 

「Still a friend of mine」 from 『Positivity』

 

★インコグニートは大所帯、それを率いるのがジャン・ポール“ブルーイ”モニック

「名前などにとらわれずに色々な音楽をやりたい」という意味から“インコグニート(匿名)”というグループ名を付けたブルーイ。その大所帯となったいきさつをこう語った。

 「インコグニートはバンドではなくコレクティヴ、バンドメンバーを毎回固定するのではなく、コレクティヴとしてセッションごとにミュージシャンは変える。面白いと思えば大人数でも使う。一年で何百人とセッションした事もある。今まで2000人以上のミュージシャンと演奏したよ。インコグニートという名前の意味は匿名の人という事。ライヴに来ても誰が誰だか分からないという事。特に人数にこだわった事はないけどね。良いステージに、良い作品にしようとして自然とそうなったよ」(出典:http://www.bluenote.co.jp/jp/news/features/5654/

BLUEY_photo インコグニートは元々、70年代に結成されたファンク・バンド、ライト・オブ・ザ・ワールド(Light of the World)のメンバーであったブルーイとポール ‘タブス’ ウィリアムス (Paul ‘Tubbs’ Williams)の2人で結成されたバンドで、80年代から作品を発表していた。 “THE VENUE”はインコグニートのスタート地点とも言えるライブハウスだ。

 

★ロニー・ロウズ、スティーヴィーなど、秀逸のカバーセンス

“オリジナルを越える?!”かもしれない、インコグニートのカバーは秀逸。前述の「Dont you worry bout the thing」(スティーヴィー・ワンダー)をはじめ、「ALWAYS THERE」(ロニー・ロウズ)、「Nights over Egypt」(ザ・ジョーンズ・ガールズ)はおさえておきたい。

 

「Dont you worry bout the thing」

 

「ALWAYS THERE」

 

「NIGHTS OVER EGYPT」

 

★インコグニートに華を添えた、最強のヴォーカリストたち

 インコグニートを語る上で欠かせないのが、ソウルフルな歌声で盛り上げるヴォーカリストたち。メイザ・リーク、ジョセリン・ブラウンがその一時代を築き、そしてチャカ・カーンも大型フェスやここ日本でも共演しているのだ。

昨年2014年、30周年を迎え、ロンドンで行われたアニバーサリーコンサート。メイザ・リーク、ジョセリン・ブラウンなど、歴代のヴォーカリストが集まった。

 

 

チャカ・カーン
Chaka Khan ft. Incognito live at Java Jazz Festival 2015