JAZZとの出会い

マセタ子供だった。小学5年生で初めて買ったレコードがプラターズのアルバム。夕陽に赤い帆や16トン、引き潮などが収録されており、まだ78回転のSPレコードだった。

我が家には電蓄はなかったので、手作りの5球スーパーラジオにプラスチック製のプレイヤーを繋ぎモノラルで音を出す。拡声器に毛の生えたような代物だったが、一人悦に行って楽しんでいたものである。

中学では訳もわからず、ハワイアンバンドに引き摺り込まれ、先輩に教え込まれたウクレレでリズムを刻んでいたが、質流れで1500円のギターを手に入れてから音楽感が変り、アメリカンポップスやフォークソングに傾倒、フォークソング・グループとロックバンドを掛け持ちして、音楽少年を気取っていた。

ところが、高校に入ってJAZZピアノを弾く友人が出来ると更にエスカレート、音楽的には無知にもかかわらず何故か私はボーカルを担当。ギターは無類のウエスモンゴメリー好き、ベースとドラムスは後にプロのJAZZミュージシャンと、当時にしてみればかなり濃い目の連中だったように思う。

ギター男が流行には敏感で、クラプトン、ジェフベック、ジミーページといったロック畑からJAZZの名手まで、これでもかと新しい音を聴かせてくれた。そんな中の一人がパットメセニーだったのである。はじめはウエスモンゴメリーに似ていると思ってのめり込んで行ったが、多くのアルバムを聴き、映像やライブで彼の技術と音に直接触れると、類稀な才能に驚くばかりであった。

ブルーノートのJAZZフエスティバルが日本で観られるという。しかも目玉がパットメセニーでジェフベックの参戦も決まったらしい。もし、この二人のコラボレーションがあるのなら、金に糸目は付けない。

私のバンドメンバーは既に二人逝ってしまった。今は活動不可能になり、ここ数年会ってい ないが、このJAZZフェスに誘って旧交を温めようかと思う。きっと久し振りに美味い酒が飲めるだろう。