ハイエイタス・カイヨーテは2011年にオーストラリアのメルボルンで結成されました。ネイ・パーム(ヴォーカル、ギター)、ポール・ベンダー(ベース)、ペリン・モス(ドラムス)、サイモン・マーヴィン(キーボード)と、個性的なメンバーが集まった民主的なバンドですね。

「僕(サイモン)とポール、ペリンは別で即興的なパフォーマンスをやるバンドもやっていて、ハイエイタスにもそうした即興性は生かされている。誰かひとりのアイデアに忠実に沿って音楽を作るんじゃなく、あるアイデアや演奏に別のメンバーが反応して、そこからアイデアがさらに膨らむ、そんな曲作りをしているんだ。そして、みながいろいろなジャンルの音楽が好きだから、R&Bにしろ、ファンクにしろ、ジャズにしろ、どれかひとつのジャンルに縛られた演奏をすることもない。僕らのステージ同様に、最初の作曲の段階から即興性に富むバンドなんだよ」

 

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ファースト・アルバムの『Tawk Tomahawk』が世界中で話題となり、いよいよセカンド・アルバム『Choose Your Weapon』が日本でも発売されます。ミクスチャーな音楽性、スリリングで起伏に富む楽曲、スケールの大きな世界観、ジャケットのアートワークと、どこをとってもユニークなアルバムですが、その中でも「Laputa」や「Atari」など日本のアニメやゲームを連想させるタイトルが印象的です。

「ネイとかもそうだけど、僕自身も日本のアニメの大ファンなんだ。一番のお気に入りは『カウボーイ・ビバップ』で、あれに使われている音楽がめちゃくちゃいい。ハードなジャズっぽい、ビバップ風のやつ。もう最高だよ。『攻殻機動隊』もお気に入りだ」

 

 

日本での初来日公演として、9月27日に開催されるブルーノート・フェスティバルヘの参加が決まりました。ニューヨークで開催されるフェスが日本でも今年初めて行われるのですが、ロバート・グラスパーやスナーキー・パピーらと共に出演するということで、いまから楽しみです。参加するにあたっての意気込み、どんなステージになるのかなどお聞かせ下さい。

「もう超楽しみだよ。日本がとにかく大好きなんだ。前にも一度東京に行ったことがあるけど、まるで別世界だった。ステージも最高のものになると思う。いまやっているツアーを凄く楽しんでいて、観客の反応もいいし、ライヴの構成にしても即興的な部分もあったりして、やっていて面白いよ。スナーキー・パピーとはこれまでも共演していて、凄く好きなバンドさ。ロバート・グラスパーにしてもそうだ。本当に凄いライヴになると思う。待ちきれないくらいさ。あと、オフの時間はぜひ公園と楽器店回りをしたいね」

 

interview&text = 小川充(おがわ・みつる)
(音楽評論家・ライター)
音楽ライター・選曲家として雑誌のコラムやインタビュー、CDのライナーノート執筆、USENの選曲やコンピレーションの監修を手掛ける。最新著書『Club Jazz Definitive 1984-2015』。