1992年のLIVE UNDER THE SKYで、初めてPAT METHENY GROUPの生演奏にふれた。うだるような暑さの中、屋外にイスを並べただけのほぼ満席の会場で、グループのアンサンブルに溶け込むペドロ・アスナールの歌声が吹かせたに違いない浄らかな微風を、玉の汗が浮いた腕に、全身に感じて、恍惚に浸った。

2012年1月末、BLUE NOTE TOKYOで観たPAT METHENYは、『ハウルの動く城』の主題曲の独奏から静かにライヴを始めた。もしあの夜、彼が、日本の原発事故や世界の危機的状況に対する“祈り”のような想いとは無関係に演奏していたのであれば、俺は今すぐ、この場で死ねる。

「音楽って、何? 生きるとは?」 私は、わずか二度のPATのライヴ体験に、ずっと救われ続けています。